ブルースセッション定番曲紹介 コード進行が少し変わる曲

ブルースセッション定番曲紹介
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ブルース12小節進行が少しアレンジされた曲

ブルースセッションに通っていると、時々12小節進行ではない様々な曲に遭遇する事があります。

少し特殊なストーミーマンデーのコード進行もここで紹介しています。

またそれ以外にもツーファイブ進行を取り入れたジャズブルースであったり8小節進行のブルースであったり等々色々なものがあります。

8小節のブルースなどは、定型が無いため親切な方ですと人数分のコード譜を用意してこられて配ってくださる方もいらっしゃいます。

ここで取り上げているものはブルースが本来持っているモード的なスタンスの中にコード的な考え方が持ち込まれた曲が多いです。

ここではブルースの基本形からすこしアレンジされた進行の曲について紹介してみようと思います。

 

また、このブログでは他のカテゴリに分けてブルースセッション定番曲を紹介しています。

関心のある方はこちらから是非ご覧ください、ブルースのスタンダードには楽しい曲が沢山あります。

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コード進行が少し変わるブルース

ルート66



この曲はブルースセッションのみならず色々なセッションでもよく歌われるとてもメジャーな曲です。

ルート66のようなジャズブルース曲はブルースセッションでは「ツーファイブで」という演奏指示で始められます。

ルート66に限らず「ツーファイブ」と言われたらターンアラウンドの少し前からコード進行が上のコード譜の様になります。

これはもしかしたら一般論では無いかも知れないのですが、とはいえ「ブルースセッションでのツーファイブ=いわゆるジャズブルース」と解釈して大丈夫だと思います。

なのでコードについての理解がある方は、ベーシストさんが上記の進行で演奏しますのでセカンダリードミナントを入れられるだけ入れたり、アドリブもマイナーペンタ一発のモード的なアプローチからよりコード的なアプローチにしても大丈夫です。

ただ「コードの話は面倒だなぁ」という方は、以下の図のイメージを持っておけばとっつきやすいと思います。

上譜の通り、「ルート66」ではコーラス部分(サビ)でブレイクをするキメがあります、対応できるとボーカルさんにとっても喜ばれます。

ちょっとややこしい事を書きましたが、ソロはマイナーペンタ一発で勿論大丈夫です。

それとコードの所で(Am)と書いてある所がありますが、ここはA7でもAmでも好きな方を弾いて大丈夫です。

ちなみにルート66というのはアメリカの主要国道の道路名だそうです。

この道路を走っていると通る地名などが歌われていてアメリカ人にはとっても身近な歌で大ヒットしたそうです。

東京で言うと国道1号線とかでしょうか、とっても粋でかっこいい曲です。

ストーミーマンデー


この曲は「ブルースセッションにはじめて参加する時に知っておきたい事」のページでも取り上げていますので宜しければそちらもご覧ください。

みんな大好きストーミーマンデーです。

ブルースセッションでのこの曲の遭遇率はなかなか高めだと思います。

まあなんともおしゃれでムードがあってノスタルジックな気持ちにしてくれる、とっても素敵な進行です。

コード進行だけを見ると7小節目から9小節目の箇所は一部分だけG-BluesからG-Majorへ調べが移っているように聴こえます。

8小節目のB♭mについては、B♭7にするとAmへ向かうⅡ-Ⅴ(B♭7がE7の裏コードとなり次のAmへつながる事でドミナントモーションが発生する)となるのですが、オールマンブラザーズのオリジナルを聞くとBm7で平行移動しているように僕には聴こえます。

ブルース進行に調性を取り入れたけど、でもやっぱりほんのちょろっと外したくなる感じがオールマンのセンスなのでしょうか、むちゃくちゃかっこいいです。

ブルースのコード進行をこんな風に彩るアレンジするオールマンのアレンジ力って物凄いと思います。

次にあげるスリルイズゴーンにも言えるのですが、音楽的にもコード的にアプローチをする等色々とトライできます

アドリブはマイナーペンタ一発のモード的アプローチも、しかるべき箇所でリディアン♭7~オルタードのようなコード的アプローチもOKです。

でもマイナーペンタ一発でソロをとる方の方が多いと思います、僕もメジャーペンタとマイナーペンタを入れ替えるだけで過度にコード的なアプローチはあんまりしないです。

人の個性が出て、そういう意味でもとても面白い曲です。

是非オールマンブラザーズの音源を聴いて響きや演奏を確認してみてください。

コード進行もギターでは視覚的にも覚えやすいし、とっても雰囲気があって一人で弾いていても楽しいです。

スリル イズ ゴーン


この曲はいわゆる「マイナーブルース」と呼ばれる進行です。

マイナーブルースは使われるコードがセブンスからマイナーに変わっただけと思われるかと思いますが、通常のブルースとは音楽的にはかなり離れ調性感が強く感じられる進行です。

ストーミーマンデーとは毛色はまったく違いますが音楽的にはスリルイズゴーンもマイナーペンタ一発のモード的アプローチもドミナントを意識したコード的アプローチもどちらもありな曲です。

Ⅴ7の所でハーモニックマイナーパーフェクト5↓で弾いたりするとものすごく「匂い」ます。

BB KINGも色々な演奏がyoutubeで上がっていますので是非聞いてみてください、スケールやフレーズもありますがギターの演奏する上でのダイナミクスの重要性やそもそも表現とは何かについて多くの示唆に富んだ演奏をされています。

僕にとっては発見が尽きる事は無さそうです。

ちなみにギターのリフがあまりにも有名で聞いた事のない人はいないであろうドゥービーブラザーズの「ロングトレインランニング」もこのスリルイズゴーンとまったく同じ進行のブルースです。(KEYはGm)

 

ベイビー プリーズ ドント ゴー

 

この曲は音源を聴いても本当に難しくて把握しづらいと思いましたので、説明の為にサンプルを作ってみました。

作った譜面はフーチークーチーマンで説明したのと同様に著作権に抵触しないようにメロディはリズム表記にさせてもらい、ベースラインはマディの音源では2ビートのベースですがサンプルではわかりやすさを重視して4ビートのベースラインにしてみました。

 

この曲のリズム面の仕掛けはトラップと呼べるくらいとても緻密に出来ていると思います。

聴いていて一瞬「あれ?」となるのですが、「あれ?」と思ってもすぐにコーラス頭になるので普通に聴けてしまいます。

でもすぐにまた「あれ??」という気持ちになって地に足がつかない感じを抱き、ちょろっとだけもやもやした気持ちのまま曲はどんどん進んでいきます。

そんな中でソロが始まって突然12小節ブルースになると聴いてる人も演者も、かなりの解放感を得られるという結構すごい曲です。

アウフタクトからメロディで曲が始まっていて、さらにイントロと歌の所ではワンコーラスのサイズが2拍分長くなっています。

譜面は僕の解釈で勝手に作ったものですのでこれが正しいというものではありません、この曲の構造の理解の仕方の1つとして頂ければと思います。

セッションではハーピストの第一人者であるリトルウォルターの影響力からかと思いますが、ハープ(=ハーモニカ)の方が好んで歌われる曲じゃないかなと思います。

アドリブに関しては歌われる方から指示があると思いますが、多くの場合は12小節のブルース進行になるんじゃないかなと思います。

また、沢山のロックバンドがカバーしている事でも有名な曲だと思います。

 

マニッシュボーイ



この曲は最初っから最後まで使われているコードはA7のみになっていて、ワンコードブルースと呼ばれるものです。

コードというよりもリフを延々と繰り返し続けるブルースです。

ブルースはコード理論等ではモード音楽として説明される事が多いと思いますがこの曲はそのブルースの括りの中でももっともシンプルな形式になっています。

セッションなどでモード形式というとジャズのモードの曲(So What、Impressions、Milestones等)の方が一般的だと思います、これらの曲は尺の概念の共有やドミナント感を出すために8小節を一括りとする「AABA」形式であったり「AABBA」形式になっていたりします。

しかしこのマニッシュボーイの様なワンコードブルースの形式は1小節の「A」のみです、尺の概念さえ無くひたすら1小節を繰り返し続けます。

モード形式のある意味で究極系と呼べると思います。

テクニックやフレーズなどはこの曲においてはそれほど意味を為さないというか、わりとすぐ出尽くしてしまうと思います。

出尽くした所からが勝負というか、マディを歌を聴いていると人間的なスケールの大きさみたいなものを感じます。

同時にこの曲ではコール&レスポンスが強烈に重要になっていると思います、コール&レスポンスが無ければこの曲は成立しないとさえ個人的には思っています。

よく音楽はソウルだ心だみたいな話があると思うのですが、この曲は直球で自分のあらゆる人間臭い部分を表現するものだと思います。

マディの音源も曲が進めば進むほどどんどんテンションが上がってくる事がわかります。

ロックなどでとてもよく使われるリフレイン(繰り返し)の手法は人を興奮させる根源的なものという話ですが、この曲のコード進行に依らないワンコードの手法はその原型と言えるものじゃないかと思います。

紹介している曲のアルバムタイトル「HARD AGAIN」とジャケットは組み合わさっていてとてもわかりやすい下ネタなのですが、マディウォーターズはそういうつまらない概念を余裕で超越していて表現者(というか男)としてのプライドを感じずにはいられない凄いブルースマンです。

ビートルズ・ストーンズ・AC/DCをはじめとする数えきれないくらいの大物のミュージシャンが半分ネタとしてタイトルを過激にして、いわゆる「しょーもない」ものにする姿勢は昔からあったと思います。

が、1癖2癖あるブルースマンの中でもマディの突き抜け方はエンターテイナーとして抜きん出ていてこの辺りもロック界のお手本の1つになったんじゃないかなと思います。

 

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8小節進行のブルース

キー トゥ ザ ハイウェイ

こちらはブルース12小節の基本形からは変化が大きめな8小節のブルースです。

2小節目でいきなり5度が来るのがとても特徴的に感じます。

個人的にはエリッククラプトンとデュアンオールマンが共演しているデレクアンドザドミノスの「いとしのレイラ」での音源がメジャーな気がします。

オリジナルはビッグビルブルーンジーという方で、アコースティックギターで演奏されるのですが他のデルタブルースの方と比べるととてもスタイリッシュな演奏をしていて伴奏だけでなく単音でのオブリガードなども聞く事ができます。

ビッグビルの演奏で「hey hey」という違う曲の演奏映像があるのですが、親指のタッチがとても強くてまたベースラインが動かない今でいう「4つ打ち」のアプローチに近いアレンジをこの奏法で行っていてすごくかっこいいです。

youtubeですぐ検索できますので是非チェックしてみてください。

あと気のせいかもしれませんがなんとなくスライド奏法の方がこの曲を好んで演奏される方が多い印象を持っています。

デレクアンドザドミノスでのデュアンオールマンのスライド奏法は今日においてもオマージュされ、目指すべきギターと位置づけされている方が沢山いらっしゃいます。

ちなみにソロもとくに指示が無ければこの8小節のままです。

イット ハート ミー トゥ



イットハートミートゥは紹介しているハウンドドッグテイラーやエルモアジェイムズのようなスライド奏法の名手による演奏のイメージが強い曲です。

大ヒットアルバムであるエリッククラプトンの「フロムザクレイドル」でも取り上げられて、こちらの演奏もスライド奏法を用いてレジェンドへの敬意の込められたとても素晴らしい演奏をされています。

とはいえフレディキングのスライドを使わない録音もあってスライド奏法による演奏ばかりというわけでも勿論ありません。

コード進行もブルース進行ではないもののブルース進行のように人の心に普遍的に響くような、その上でディミニッシュコードの使用によって更にブルースフィーリングを歌い上げさせてくれる特別な雰囲気のある進行の曲です。

スライド奏法との相性は凄く良くて紹介しているハウンドドッグテイラーの録音はギターも歌も神懸かっていると思います、凄すぎてやばいです。

ちなみにハウンドドッグテイラーはギター・ギター・ドラムというベースがいないトリオ編成の「ハウスロッカーズ」という名義で演奏活動をしていてここで紹介している音源もベースレスのものになっています。

 

ウォーキング バイ マイセルフ

この曲は、上記のような8小節の進行になり、更にサビの部分でブレイクへ突入するという仕掛けが満載の楽しい曲です。

進行的には「ドミナント(Ⅴ)→サブドミナント(Ⅳ)→トニック(Ⅰ)」というブルース特有のファンクションの流れがこの曲ではありません。

「サブドミナント(Ⅳ)→ドミナント(Ⅴ)→トニック(Ⅰ)」というより一般的な進行になっていて、ブルース12小節進行よりもすこしほのぼのとした平和な感じの進行になっています。

ブレイクの部分は読み辛いかと思いますが符号をつけてみましたが、きっちりとしたフレーズがあるわけでは無いのであくまで目安程度にとらえてください。

このブレイク部分はメロディの関係から「間」がすごくある為誰も音を出さないとちょっと変な感じになってしまいますので歌のレスポンスとして良い感じの合いの手を入れるという意味合いです。

そしてブレイクが終わったら頭へ戻ります。

ソロ・アドリブ回しに関しては話し合いで確認された方がいいと思います。

ここで紹介しているジミーロジャースが歌っている音源ではソロ部分はブルース12小節進行に代わり、歌のコーラスでは戻るようなアレンジになっています。

しかしフレディ・キングの音源ではこの曲の8小節のままアドリブもとられています。

人気のある曲でありよく知られている曲でもあります、僕の感覚ではなんとなく12小節でアドリブを回すようなイメージを持っています。

とはいえボーカルさんへの確認をしないまま勝手に12小節に変更するのはよろしくないかなと思います、コード進行を提示されて他の指示がなければ8小節のまま行くのが自然な気もします。

ですのでこの曲に遭遇したら確認できるのがベターだと思います。

またジミーロジャースの音源が有名なので「ソロ部分は12小節にしますか?」などと聞いてみる事も不自然な感じはありません。

まあでもソロを8小節でまわすのもまったく問題無いので特に確認ないまま8小節進行でずっといくのももちろんありな曲です。

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まとめ

この記事では「コード進行が少し変わる」という括りでセッション定番曲を紹介してみました。

ブルースに慣れるまではどの曲がどの曲かわからないと思いますが、全てを把握している必要はまったくありません。

当然僕もとても全てを把握できているとは到底言えません。

ここで紹介したコード進行が少し変わる曲はボーカルさんから指示があった時は「いけますか?」という感じで聞いてもらえると思います。

わからない、もしくわ知らないという場合であればきちんとその旨を伝えてみてください。

きっと譜面を用意して貰えたりその場で少し練習させてもらえたり曲の変更をしてもらえたりすると思います。

責任感の強い方であればこの事を少しひきずってしまうかもしれませんが、セッション参加者さんのほとんどの方は経験している事ですのでまったく気にする必要はありません

どんどん参加してどんどん失敗していってください、そして経験した失敗は繰り返さないように演奏後に曲について教えて貰いに行ったりこの記事を参考にしてみてください。

 

この記事が少しでも参考にして頂けてお役に立つ事がありましたら本当に嬉しく思います。

 

ブルースセッション定番曲はカテゴリに分けて紹介しています、もっと定番曲について知りたい方はこちらからご覧頂けたらと思います。

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