こんにちは。
ここでは前回記事で導き出したブルースで使われる7thコードのダイアグラムに有効なテンションの加え方を説明します。
この記事では次のようなダイアグラムを書く所まで説明します。
そして次の記事でここで作ったテンションを含めたダイアグラムから使い勝手のよいボイシングを見つける方法を説明します。
最初にこのページにアクセスされた方は何がなんだかわからないと思いますので、以下から順に読み進めて頂けたらと思います。
②7thコードのコードトーンの整理→こちら
③7thコードのボイシング→こちら
④コードトーンとテンションを整理する→今ここ
⑤テンションを含めた7thコードボイシング→こちら
ギターのダイアグラムを活用④コードトーンとテンションを整理する
前回までの記事でコードはルート音から3度堆積して作られており、コードトーンはコードシンボルに全て書いてあると説明しました。
しかし、ブルース進行の説明で使われるコードシンボルには次のように通常テンションの音は記載がありません。
そこでブルースで使われている7thコードのテンションの音の導き方について、ちょろっとだけ触れようと思います。
次の大見出しまでは「ブルースの7thコードでは9と13がテンションで11がアボイドである」事を説明しているだけです。
理解のある方は次の大見出しまでスクロールして読み進めて頂けたらと思います。
コードシンボルに表示されていないテンションとアボイドの導き方
ブルースで使われているコードは『ミクソリディアンスケール』を3度堆積したもの
テンションノートとアボイドノートは、ルートから3度堆積されたコードトーンから更に3度堆積を続けた延長線上にあります。
上図の通り3度堆積して現れる7音の内、最初の4音(赤◯)がコードトーンで続く3音(青◯)がテンション・アボイドノートになります。
そしてこの7音には、コードの土台となっている3度堆積で使用されたスケールの音が結果的に全て使われています。
8音目は2オクターブ上のルート音(=Ⅰ5度=1度)になりこれがずっとループするので7音目以上は考える必要はありません。
テンションとアボイドは概念上は上図の通り次のオクターブに現れる音になります。
つまり、テンション(アボイド)は9・11・13の3音です。
でもここで、
コードの土台となるスケールって何?
それと9・11・13って長短の2つがあるんじゃないの?
という2つの疑問が出てくると思います。
そうなんです、実は上記の三度堆積図は不完全なものなのです。
細かく書く事によて起きる拒否反応を回避したかった為、このダイアログ関連の一連の記事では三度堆積の概念をわかりやすく伝える為に上の略図を使っていました。
ブルースで使われているコードの三度堆積の図は、きちんと書くとこの様になります。
ブルースで使われている7thコードは「ミクソリディアンスケール」という音階が土台になっています。
ルート 長2度 長3度 完全4度 完全5度 長6度 短7度
※2=9、4=11、6=13
「ミクソリディアンスケール」なんていう単語が出るとややこしく感じられるので、もうちょっと気楽な説明が出来たらと思って色々と考えてみました。
考えてみたのですが、テンションを導く説明をするにはこう伝える方法しか思いつきませんでした。
でもそんなにややこしく考えなくて大丈夫です。
大丈夫な理由は「ミクソリディアンスケール」と名付けられたものを使っているだけだからです。
スケールの名前が出てくると拒否反応を示す方も多いと思いますが、先人の音楽の天才の方々が「黒人のブルースの旋律に合う和音は、西洋の平均律で考えるとミクソリディアンだね」という感じで僕たちにもわかる形にしてくれたものです。
上図はあくまでイメージです。
そもそもピアノを吊ったまま走行するとかあり得ません、こんなことやったら事件です。
この図で書きたい事は「ブルースの軸になっているものは歌(旋律)」という事であり、コードは後付けという事です。
旋律に合わせた和音付けを行うという事は、ミクソリディアンの音階が単に「ブルースの旋律にふさわしい選択肢であっただけ」という事です。
ブルースを演奏する時は調性の観点から考えるなかなか大変なので、次の通りに素直に使う事をオススメします。
・C7のコードはCミクソリディアンスケール
・F7のコードはFミクソリディアンスケール
・G7のコードはGミクソリディアンスケール
各ルートのミクソリディアンスケール上で3度堆積して和音が出来ている
そしてミクソリディアンスケール上でルートから3度堆積するとブルースで使えるテンションとアボイドを導く事ができます。
もう一度ミクソリディアンの3度堆積の図を載せてみます。
「ミクソリディアン」は名前こそ仰々しいですが、メジャースケールの第7音が♭しただけの「単なる音階の1つ」です。
これでブルースの7thで使えるテンションとアボイドがわかりました。
ブルースでは9・11・13がそれぞれテンションなのかアボイドなのかを判断する
すいません、もう少しテンションについて説明します。
「いいから早くダイアグラムを!」という方は次の大見出しまでスクロールしてください、長々とすみません。
確定できた3つの音をコードとして使用するにはテンションノートなのかアボイドノートなのか判別しなければなりません。
ここで紹介するテンションノートの探し方は「アボイドノートでは無い事を確認する」という方法です。
消去法的な探し方ですがこうやってテンションを探した方が簡単です。
アボイドノートとは「コードの響きや機能を損なわせる音」であり、これをコードトーンと一緒に鳴らすといわゆる不協和音となります。
アボイドノートとは、コードトーンとの間に次の関係になる性質があります。
コードトーンと♭5音程(トライトーン)になる音
※ドリアンスケールの6thとリディアンスケールの#11thは例外
コードトーンの半音上の音はコードの『響きを損なう』事から、トライトーンの関係を形成する音はコードの『機能を損なう』事からアボイドノートと呼ばれます。
そしてコードトーンとこの関係では無い音は美しく調和してコードの表情を豊かにできるのでテンションノートと呼ばれます。
ミクソリディアンスケールでは11度の音が長3度の半音上の音になるのでアボイドノートになり、9・13はアボイドの条件を満たさないのでテンションノートになります。
アボイドノートの補足
こんな事からアボイドノートに関してはNG音という「イメージ」を持たれている方が多いと思います。
つまりアボイドは使わなければいいんでしょ?
といった感じで、なんならちょっと悪者みたいなイメージを持たれている事も多いと思います。
しかしアボイドノートはモードの説明では「特性音」と呼ばれ、スケールの特徴を表す音でありとても大切な音です。
なのでNGな音というのは間違った認識です。
良い例えになっているか微妙なのですがアボイドノートはお寿司のわさびみたいなイメージです。
アボイドノートは強い音価(強拍で鳴らしたり長く鳴らす事)で用いられると調和が崩れてしまいますが、旋律の中で適切に使うとそのスケールの特徴を表す事が出来るとても価値のある大切な音です。
〈4−5 絵 寿司からはみ出したわさび〉
アボイドノートはあくまでも「和音として強い音価で用いるにはふさわしくない」というだけのものです。
アボイドノートを徹底的に避けると綺麗な音楽になりますが、それは面白味に欠ける音楽になるという事にも繋がります。
この記事でもコードボイシングの話なのでアボイドノートの使用は避けていますが旋律には必要な音です。
決して悪者では無いという事だけは忘れないでください。
コードトーンとテンションをダイアグラムに書き込む
使用する音がわかったらあとは簡単です。
指板上のルートの位置を確認して、今までと同様の手順でルートを基点に「コードトーンと9と13」をダイアグラムに淡々と書き込んでいくだけです。
もし手順が曖昧でしたらこちらの記事から順に読み進めてみてください
C7のコードトーンとテンションをダイアグラムに書き込む
次のものは最初にルート音のCの位置を書き出して、そこからスケールの順に書いた様子です。
でも書き方に決まりはありません。
コードトーンの4音(ルート、3、5、7)だけ先に書き出してその後でテンション(9、13)を付け足す書き方をしても全く問題ありません。
というかコードトーンだけ先に書き出す事もとても効果が高いです、色々な手順で描き出せるようになるとより強固に指板の整理が出来る様になるので是非好きなようにダイアグラムに書き出してみてください。
ギターの指板の音配置がまだ整理出来てない場合はルート音を書き出してからこの図を見ながら1つ1つ書き出してみてください、きっとすぐ慣れます。
F7のコードトーンとテンションをダイアグラムに書き込む
G7のコードトーンとテンションをダイアグラムに書き込む
まとめ
この記事ではブルースで使えるテンションについての説明と、コードトーンとテンションをダイアグラムに書き出す様子を紹介しました。
結果的にこの様なダイアグラムが完成します。
次の記事で書き出したダイアグラムを有効に活用する方法を紹介します。
書き出したダイアグラムの様子から
こんなに沢山把握するのか。。
と思うかもしれませんが全てを把握する様な事は当然必要ありません。
この辺りの事も併せて次の記事で書いてみようと思います。
ダイアグラム活用アイテムの紹介
僕は以前紙にダイアグラムを印刷して思いついた事をなんでも書きまくっていました。
紙に印刷して書いてみようと思われた方はこちらのPDFを印刷して使ってみてください
guitar_diagram_2_pdf
そして今はスマホやタブレットを使えば紙の用意は不要な時代になりました。
このブログの紹介動画もiPadを使って書いています。
この記事の動画と同じ事が出来るようにpingファイルをダウンロード出来る用にしました。
お手持ちのお絵描きソフトがあればこのファイルを読み込んだら同じように出来ると思います。
guitar_diagram_ping
是非活用してみてください。
ちなみに僕は「medibang paint」というお絵かきアプリで動画をつくりました。
メディバンペイントはAndroidでもiosでも無料で使えます、そのかわりちょろっと広告が入りますが煩わしさは低いです。
指で書くと大変かもしれないのでスタイラスペンを使うとダイアグラム作成が捗ると思います。
僕はアップルペンシルを頑張って買って使っているのですが、この用途の為に購入するのはちょっと高すぎます。
以下のスタイラスペンは使った事が無く使用感などはお伝え出来ないのですが、レビューや価格から良さげに思えましたのでご紹介しておきます。
是非参考にしてみてください。
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