こんにちは。
この記事ではブルースセッションやシカゴブルースに関心のある管楽器の方へ、トランペットやサックスが大活躍しているブルースの音源を僕の主観から4つ紹介しています。
管楽器の方は楽器を手にするきっかけは色々かと思いますが、多くの方はセッションと言えばジャズへ行かれると思います。
するとブルースと言えば「Fブルース」という絶対的な通過儀礼を経てジャズスタンダードへ進まれて、いわゆるブルースセッションには馴染みがない方って多いと思います。
でも管楽器はブルースセッションでも大活躍している楽器です。
このブログではバッキングについてはリズム別にして僕なりに調べたものまとめた記事があるのですが「音は聴けばわかるから解説よりも具体的にセッションの参考になるものが欲しい!」という方もいらっしゃると思います。
そこでここでは管楽器が大活躍しているブルースのアルバムを、バッキングの参考になる音源とアドリブの参考になる音源の2つにわけて紹介してみようと思います。
ブルースに関心のある管楽器の方へお勧めする音源の紹介
アドリブの参考になる音源
T-Bone Walker "T-Bone Blues"
Tボーンウォーカーはブルース史に燦然と輝くブルースレジェンドです。
ここでは管楽器の方のアドリブの参考になるという事で挙げていますが、レコーディングには当時のスーパーミュージシャンが参加しているという事でバッキングもとても参考になると思います。
そしてTボーンウォーカーは僕らギタリストにとってもめちゃくちゃ重要な人なのでブルースセッションでは楽器を問わずにとても重要な人になっています。
このアルバムに収録されている曲にもスタンダード曲が沢山あります。
#2 Why Not は Walking By Myself という名前で沢山のブルースマン・ロックミュージシャンに歌われています、このブログでもこちらの記事で取り上げている曲です。
#3 T Born shuffle はブルースセッションでもよく取り上げられるみんな大好きなスーパースタンダードな曲です、管楽器の方がこのテーマをギターとユニゾンで参加してもらえると演者も客席も一気にテンションが上がります。
#4 Play On Little Girl は出だしのワンコードでしばらく演奏するスタイルはブルースではとてもよく見られます。
#8 Call It Stormy Monday も T Born Shuffle と同様にブルースセッション参加者はみんな大好きなスーパースタンダードです。
ストーミーマンデーに関してはオールマンブラザーズバンドの演奏もとても有名でブルースセッションでは「ストマン進行」というコード進行で演奏される曲でもあります(通常の12小節進行でも演奏されます)、この曲もこのブログでこちらの記事でコード進行と共に取り上げているのでご覧頂けたらと思います。
こんな感じでとにかくブルースの世界ではTボーンウォーカーはとても重要な方ですので管楽器の方にもとても強くお勧めできる一枚です、僕はこのアルバムを最初に聴いて頂きたいと思います。
Louis Jordan "The Best Of Louis Jordan"
ルイジョーダンはビッグバンドの雰囲気を小編成のコンボでコンパクトな形にしてブルースへ持ち込んだジャンプブルースという音楽の第一人者で、なかなか商業的に成功する事が少なかった当時のミュージシャンの中でもヒットチャートで1位になった曲が10曲以上もあって経済的にも成功を収めた方だそうです。
ここで紹介しているベストアルバムはシカゴブルースのようなギターが全面に出ている音楽ではなく、スウィングジャズとブルースが合わさったような音楽です。
ブルースセッションではよく取り上げられる曲もありホーンセクションの方にとっては最重要となる人じゃないかなと思います。
特に#2の Let The Good Times Roll と #6 caledonia の2曲はブルースセッションに通われている方はテーマを吹ける方が多いので是非チェックして頂けたらと思います。
聴いていてもとても楽しく、ルイジョーダンの歌声も陽気できっとユーモアの精神溢れる人だったんだろうなぁと色々な歌い方をしていて面白いです。
時代の違う今の日本を生きる僕らには想像できないのですがブルースやジャズがエンターテイメントの最前線にあった事を伝えてくれるアルバムです。
Tボーンウォーカーとルイジョーダンは演奏スタイルや音楽的な存在意義はまったく違うと思いますが、お二人ともそれぞれの山で頂点に立っている印象を僕は勝手に思っています。
バッキングの参考になる音源
Little Milton "Chicago Blues and Soul Via Memphis and St. Louis, His Early Years 1953 - 1962"
リトルミルトンのこの音源は全般に渡ってホーンセクションが活躍されていて、バッキングフレーズの紹介記事でも沢山取り上げましたがシンプルながら曲への貢献の高い参考になる演奏の宝庫だと思います。
演奏の参考としてはこのアルバムがもっとも実用的なんじゃないかなと思います。
リトルミルトンはR&Bとかソウルといったイメージの方でブルース一筋という経歴ではないそうなのですがここで紹介している音源を聴く限り勿論ブルースの演奏が片手間であったとは思えませんし実際にそう思う人もいないと思います。
またこのアルバムには入っていませんがR&B方面の音源の中でもブルースセッションでよく歌われる Blues Is Alright という曲があります。
こっちのジャケットのリトルミルトンの方が僕が描いているリトルミルトンに近いです。
こんな方なので演奏にもホーンセクションがいつも傍にある印象を持っています。
ブルースセッションで具体的に使えるホーンセクションのバッキングを探していたら是非リトルミルトンを聴いてみる事をお勧めします。
BB.King "Live At The Regal"
このブログでも度々紹介しているアルバムですが、ブルースの音源の中ではBB.Kingの「ライブ アット ザ リーガル」は本当に有名です。
これはライブアルバムなのですがアルバム全編通してホーンセクションが大活躍しています。
1曲目の「エブリデイ アイ ハブ ザ ブルース」の出だしからホーンセクションがとても華やかで景気の良いフレーズで本領を発揮していて一瞬で心を持っていかれます。
バッキングフレーズ紹介でも度々取り上げたのですが、とにかく素晴らしいホーンセクションの演奏がこのアルバムにも山の様にあります。
アップテンポありスローあり盛り上がってきた所でのリズムの変更ありでブルースのエンターテイメント性がこのアルバムには存分に詰まっています。
ちなみにBB.Kingはあまりにも偉大過ぎるのでついつい説明を怠ってしまいがちなのですが、もし今これを読んでくださっていてBB.Kingを知らないという方がいらっしゃいましたらググったりyoutubeで色々とチェックしてみてください。
BB.Kingは「キングオブブルース」という称号がありますが、実際にはブルースの枠を超えた世界のスーパースターです。
ブルースをするなら必聴と呼ぶべきアルバムだと思います、是非チェックしてみてください。
まとめ
この記事では管楽器の方で今はまだブルースにそんなに馴染みが無い方へ僕の主観からお勧めするアルバムを4枚紹介してみました。
この中から関心のあるものが見つかったらとても嬉しく思います。
記事の冒頭でも書きましたが、管楽器の多くの方はセッションと言えばジャズへ行かれると思います。
ジャズセッションで行われるブルースと言えば一般的には4ビートによる「Fブルース」となってビリーズバウンスやバグズグルーヴなどのジャズブルースが身近なものになっていると思います。
そしてその後はジャズスタンダードの世界へ入って行き、Ⅱ-Ⅴの研究へと進んで行くと思います。
そうするとシャッフルがメインのリズムのいわゆるシカゴブルースへは行かずにブルースセッションが遠い存在になってくると思います。
ですが僕はブルースセッションとジャズセッション両方に通った体験からそれぞれのメリットについて思う事があります。
ブルースセッションに通う最大のメリットは「歌心」について考えさせられる事だと思います。
ブルースセッションのブルース進行の基本形ではⅡ-Ⅴ進行は無く(曲によってはあります)使うスケールもアプローチもとてもシンプルです。
なのにキーのマイナーペンタトニック一発で物凄い感動を得られる事があり、この魔法はなんなんだろうと考えさせてくれる事があります。
ジャズセッションはどうしても音楽の性質上「研究」という側面が強く、聴き手に届けるよりもコードやスケールについての理解や実践の面が強くなってしまうと思います。
それは当然とても重要な事でそしてジャズによってしか学べない事が多々ありますが、音楽は主観的なものなので人が感動するポイントはどこなのかなと考えた時にブルースセッションはとても大切なヒントやある種の正解を教えてくれると僕は思っています。
ジャズがとにかく好きな為にブルースセッションの雰囲気にどうしても馴染めないという方もいらっしゃると思いますので当然嫌なものは勧められませんが、人を沸かせたいとか自分の演奏で感動してもらいたいと考えている方にはきっと価値のある場所だと思います。
またブルースセッションは何か新しい切っ掛けも得る事が出来る場所だとも思います。
ちょっとでも行ってみようかなと思って頂けたらブルースセッションはとてもオープンな場所なので是非一度足を運んで貰えたらと思います。
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